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宇崎ちゃんの献血キャンペーン第二弾、みんな絵をちゃんと比較できてなさすぎだろと思った。

 去年、宇崎ちゃんの献血ポスターが炎上してしまったが、今年に入って第二弾を無事発表できたようだ。ぼくは、「巨乳のキャラクターは公の場に出てくるべきではない」という主張はさすがに条件が厳しすぎると思っていたので、取りやめにならなかったことはひとまずよかったと思っている。

 しかし、第一弾について批判的だった人たちの中には、第二弾に許容的な態度を示す人たちが多数おり、それに対して「同じ巨乳のキャラが登場するのになぜ第一弾のように批判しないのか?論理が一貫していないのではないか?」といった物言いがつけられるなど、炎上は延長戦に突入していったようにみえる。

 そういった物言いをつける人たちは、「第一弾と第二弾のどこがちがうのか?おなじ巨乳のキャラが出てくるではないか」といったように、第一弾と第二弾は本質的にはどこも変わっていないという認識があるようだ。これは巨乳だからダメだと第一弾を批判していた人々に対しては妥当な反論ではあるだろう。しかし、こうした表現は改善されるべきであるという広い意味での批判にこの反論だけで対応できているとも思えない。一方、第一弾には批判的で第二弾には許容する態度をとっている人たちも、第一弾と第二弾がどのように異なっているのかをちゃんと語っていないように思える。第一弾と第二弾をどのように評価できるのかを実際に作品から判断しようとする人が少ないために、お互いに難癖を押し付けあうような状況にいつまでたっても終わりがみえないのではないだろうか。

 どんな態度をとるにしても、作品を慎重に観察したうえでどのように批判できるのか、擁護できるのかを検討する必要があるはずだ。絵をちゃんとディスクリプションして比較するという基本的なことを怠るべきではない。そこで、第一弾と第二弾ではどのように表現が違っているのかを整理していくことにする。問題があるとして挙げられていた表現にはいくつかあったが、とくに注目度の高かった胸の表現に絞って比較していくことにする。

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  1. 漫画形式になることで画面全体を占める胸の割合が格段に減っている
    まず、一番大きな変化として挙げられるのがこの点だろう。前回のポスターでは、画面のど真ん中に大きく胸がくるように配置されていた。ほかの要素もあまりないシンプルな構成のため、巨乳であることで画面がほどよく満たされ、締まりのある画面が成り立っていた。一方、今回は、漫画形式となって構成要素が大幅に増えた分、画面全体を占める胸の割合も格段に減り、絵の構成における胸の重要性もかなり薄くなっているといっていい。

  2. タイトルロゴがキャラの手前に重ねて配置されていることで胸への注目度が弱くなっている
    これも、胸の重要性が減っているようにみえる一因だ。同じコマには、セリフの吹き出し、真後ろに主人公の男が描かれているのもそうだが、とくにタイトルロゴがキャラの手前に、しかも胸のすぐ近くに配置されている。前回はタイトルロゴと胸はかなり距離のある位置に配置されており、それぞれに注目できるだけの余裕があったが、今回の場合は、キャラの手前、胸のすぐ隣にロゴが配置されており、それだけ胸に注目する度合いも弱まっているように感じられる。

  3. 陰影のコントラストが前回ほど強くなく「乳袋」感が減っている
    この点は、指摘する人がけっこう多かったと思う。前回は黒くはっきりした影が胸の下のラインの丸みを強調する役割を果たしていたが、今回はそういった影の使い方はされていない。そのため、よく不自然な表現だと揶揄されがちな「乳袋」感が減っている。

  4. あおり視点の角度が若干控えめになっており、巨乳の迫力も減っている
    前回は下から見上げているようなあおり構図になっているため胸に巨大感があり、迫力があった。だが、今回は角度が若干控えめになっており、その分、胸が大きいことはわかっても、迫力があまり感じられない。

  5. 奥に腕を配してあることで胸のシルエットが途中で途切れている
    前回は黒いコスチュームと明るい背景という組み合わせで胸のシルエットがくっきりしていた。今回も暗めの色のコスチューム、明るい背景という点は同じだが、今回は奥に腕が配してあり、胸のシルエットが途中で途切れている。それによって、胸のラインが前回よりわかりずらい。
    これは言葉で説明するだけでは難しいかもしれない。そこで、奥の腕を薄く加工してシルエットをはっきりさせた画像をつくってくれている人がいたので、それで比較してみよう。こうやって加工でもしないと、胸のラインがこんなにふうに続いていたとパッと見では気づきにくいだろう。

    「宇崎ちゃん 第二弾 ポスター」の画像検索結果

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  6. 後ろに背の高い主人公の男がいることで宇崎ちゃんの身長がわかり、胸のサイズ感も前回と異なって小さく見える
    さいごに、これは意外と重要だと思うのが、宇崎ちゃんがそれほど身長の高くないキャラだということが、後ろに主人公の男が描かれていることでわかるということだ。比較対象があまりない前回に比べると、宇崎ちゃんの身長に対して相対的に胸が大きいから、より巨乳に見えただけなのかもしれないな、という見方ができるようになっていると思う。

 

 以上のように第一弾と第二弾を比較してみると、胸を強調する見せ方が第二弾ではかなり控えめになり、絵の構成要素の中で重要性が低くなっていることがわかった。第二弾に対して反発する人が前回に比べてかなり少ないのもそれが大きな理由の一つと思われる。

 そして、第一弾と第二弾の決定的な違いとして、そもそも第二弾の絵はポスターになっていないようである(すくなくともぼくがネットに画像が上がっているのを見たのはクリアファイルだけであり、第二弾の絵がポスターになっていないならそもそも当初の論点とはまったく異なってしまっているように思う)。胸の表現が控えめになり、しかもそれを第一弾のようにポスターとして掲載することもできていないのなら、「表現の自由の後退じゃないか」と批判を強める人たちがいてもおかしくないと思うが、「表現に難癖をつけるフェミに勝った」という落としどころに落ち着いてしまっている人たちがあまりに多いようにみえる。

 ぼくは、表現の自由は確保されるべきであると思っているのでポスターになっていないのは若干残念さを覚えるところだ(まぁ単純に予算の関係などの理由で、やらなかったのではなくできなかったのかもしれないが)。また、ぼくは今回の場合、基本的にフェミニズム側の意見に賛成の立場でもある。その表現が提示される場所に対して適切なものであるべきだという主張それ自体は、表現の規制を求めているというよりも改善を求めていると思えるし、その改善の要求は性にかかわる表現については妥当だと思える。第一弾において胸の表現は過剰だったと思うからだ。それにたいして第二弾は、クレームを入れられたから取りやめるというよくありがちな浅はかな対応をせずにキャンペーンを続行した点、そして、第二弾の表現が第一弾に対してなされた改善の要求に対してある程度の折り合いをつけているとみなせる点で評価すべきであると思う。