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【短い感想】『ティファニーで朝食を』(1961)

名作と言われている見てみました。きらびやかなイメージがあったけど、実際見てみて全然印象が違っていました。

 オードリー・ヘップバーンが演じたホリーは、男をたぶらかしながらお金を貢がせてその日ぐらし、しかも玉の輿を狙いという、まあこの時点でかなりアレな話だなってなります。で、お相手の男ポールも売れない作家で金持ちのおばさんと不倫&援助交際をしているという、これまたアレ。

 二人とも一見精神的な余裕も教養もありそうな雰囲気だけど、ポールは普通にいい男を最後まで演じる一方で、ホリーは破綻していく。なんだろうね、この違いは。ポールも少しは小説の筆が進まないことに焦りとかないの?という疑問が…。こいつ最後まで余裕ありすぎじゃないですか?正論ばっか吐きやがって、そういうお前はどうなんだ?って思いました。ムカつきました。

 オードリー・ヘップバーンの体型がかなりガリガリに痩せ細ってたのが印象的だった。劇中で田舎からホリーを迎えに来たおっさんが彼女のことを「骨と皮だ」って言ってたけど、あれはどういう意味なんでしょうね。細くてかわいい女性像を押し出そうとしているのか、批判しているのかよくわからなかった。斬新なファッションできらびやかにホリーを演出しつつ、世間一般的な評価は「骨と皮」ってことなんでしょうか。個人的には、「かわいい」って言葉自体が僕はそもそも好きじゃないし、今回みたいに媚びてるパターンは特にそうで、だからオードリーの出す独特な雰囲気は別に痩せ細った体型だからあるのではないと思いつつ、「骨と皮だ」という意見にはそんな風に言わなくてもいいだろ、と思いつつ。

 おまけみたいな日本人描写は最悪だった。これは差別以外の何物でもないので、正直いって冒頭からかなり不愉快な気分になった。日本人含むアジア差別ってずっと根強く残ってるんだなあっていうのがわかっただけでした。

 ここまで文句を言っておいて難だけど、内容自体はそこまで悪くなかった気もします。お金が全てだと思ってる女と、愛のために生きたい男とのせめぎ合いという、いまとなってはよくあるパターンになってしまっているくらいの王道の展開ではあると思いました。

 ホリーが飼ってる猫は彼女の立場を象徴する役目を負ってるっぽいのですが、この使い方はよいと思いました。最後にホリーが自分を受け入れる描写を、猫を抱擁することで視覚的に表してるのが、わかりやすくていい。

 ティファニーティファニーはホリーの儚い夢であり、破滅の原因なのですが、ここが観る前のイメージと全く逆でした。もっときらびやかで楽しーって感じのお気楽な映画なのかと思ってたので。しかも、パッケージになってるホリーがティファニーで朝食とってるシーンは劇中になかったのが驚きだった。冒頭のショーウィンドウの前でパンかなんかを食ってるやつがティファニーでの朝食なのだろうか?だとしたら拍子抜けにもほどがある。

 ムーンリバーも一度は聞いてみたかったのでそれが果たせました。これは『ハチクロ』でも出てくるからいつか聞いてみたかったのです。これだけでも十分満足。


Moon River - Breakfast at Tiffanys