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語ることって大事

洋画のPRがダサい理由を云々する記事にみられる事実誤認:『ドリーム』の邦題変更騒動について

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今回は最近Twitter映画界隈で話題となったこちらの記事についてのお話です。

「ダサい邦題」「タレントでPR」、熱心な映画ファンが“無視”される事情 稲田豊史の「コンテンツビジネス疑問氷解」|ビジネス+IT

記事中では、『ドリーム』の邦題炎上、もしくは邦題変更騒動について触れられているのですが、今回はその記述の仕方にちょっと待ったー!とモノ申します。

ついでに、映画評論家の町山智弘先生を「あらためて」批判します。

唐突に思えるかもしれませんが、『ドリーム』邦題炎上に関して、すでに私は怒りを込めて町山先生を批判する記事を書いているんですよ。いま読み返してみても、ああ~当時の私めっちゃ怒ってるなぁ~と感じですね(察しのいい人しかわからんとは思うけど)。

noumos.hatenablog.com

当時はほとんど反応が得られなかったけど、今回Twitterであらためてそのことに触れたところ、反応が貰えたし、当時の私と同じ考えを持っている人がわりといたので、記事であらためて『ドリーム』邦題炎上の是非を問いたいと思った次第です。

 

では、本題に入りましょう。まずは、今回話題となった記事で『ドリーム』の邦題炎上についてどのように触れられているのか見ていきましょう。

 

 洋画が日本公開される際、その題名が直訳やカタカナ読みではなく、独自の邦題になることがある。

 〔中略〕

ただ、中には映画ファンが「原題に込められた意味をもっと尊重してほしい」「ダサい……」と異議を唱えるような邦題もある。たとえば、以下のようなものだ。

 〔中略〕

『ドリーム』に関しては、実は邦題決定までの間に一悶着あった。配給会社の20世紀フォックスは、一旦は邦題を『ドリーム 私たちのアポロ計画』として日本公開をアナウンスした。 

 しかし劇中で実際に描かれるのは「アポロ計画」ではなく「マーキュリー計画」であるとの指摘がSNS上でなされ、映画ファンを中心に批判が続出。これを受けて『ドリーム』に変更された経緯がある。その際の配給会社の言い分は、以下のようなものだった。 

「映画の内容としてはマーキュリー計画がメインであることは当然認識しています。その上で、日本のお客さまに広く知っていただくための邦題として、宇宙開発のイメージを連想しやすい『アポロ計画』という言葉を選びました。(【更新】タイトルと内容が違う…?大ヒット映画の邦題「私たちのアポロ計画」に批判 配給会社に聞く)」

 〔中略〕

原題から大きく変更された邦題を「わかりやすくてよい」とするか、「作品の本質を損ねている」「ダサい」と捉えるかはもちろん主観による。ただ映画ファンの異議申し立ては、それはそれで一理あるものだろう。

 

 

はいはい、もうダメダメですね。これぞ恣意的な切り取り、フェイクニュースってやつですよ。

この記事こそわかりやすさを重視した結果、自身が揶揄するような「ダサい邦題」と同じく作品の本質を損ねているという点でも、私のようなめんどくさいやつから批判されるという意味でも、同じ運命をたどっていますね(オタク特有の早口)。

 

この記事を読んで、過去の怒りを思い出した私の主張は以下の通りです。箇条書きです。

 

「私たちのアポロ計画」というサブタイトルは、ちゃんと本編の内容を踏まえて付けられていた。

詳しくは上に挙げた私のブログ記事参照。

 

そもそも、邦題を批判し、変更するように求めた「映画ファン」のほとんどは、まだ本編を見ていなかった。

日本ではまだ公開されていなかったので当然だが。

 

サブタイトルを考案した配給の20世紀フォックスは、ネットメディアから取材を受け、そこでサブタイトルが本編の内容を踏まえていると反論もしていた。これも私の記事参照。

今回の記事は、この点を無視している。

 

そもそも、「私たちのアポロ計画」は決してわかりやすいサブタイトルではない。

本編をちゃんと見たうえでないとその意味がわからないような、観た人に思考を促す、とても良いサブタイトルである。

 

なので、「わかりやすさを優先した」という20世紀フォックスの言い訳もじつは不正確である。意図をちゃんと説明するべきだったのに、歯切れの悪いことしか言えなかった20世紀フォックスもよくなかった。

 

そして、本編を見ないままこのサブタイトルを批判していた「映画ファン」もまったく見当違いである。

本編をまだ確認していない状態で作品を批判することが、どれだけ危険な行為か自覚が足りていない。

映画のことを本当に考えているとは思えない所業であり、そんな醜態をさらしていることにも気づいていないと言う意味では救いようもない。

 

変更後のタイトル『ドリーム』は、本当にクソダサい。

この点は今回の記事と同意見である。

 

炎上前にラジオ番組で『ドリーム』の内容を紹介し、Twitterで「アポロじゃなくてマーキュリー計画の話なんですが。」などと言及するなど、炎上の火種をまいた張本人とも言える町山智弘先生は、広報に一枚かんでいた(ポスターにコメントを寄せていたり、Twitterで真っ先に映画公開の宣伝をしていたりしていた)にもかかわらず、サブタイトルをはっきり批判するわけでも擁護するわけでもなく炎上をただ静観するに終始し、20世紀フォックスの反論もまったく無視し、本編を踏まえたサブタイトルであることにも気づかずに、なんと邦題変更後になって炎上にそのまま便乗し、しかもなぜかこの騒動をよくない邦題をつけがちな映画業界批判へと結びつけるといったアクロバティックな行為で人々を魅了する人物であります。

 

今回の記事のような、映画のダサい邦題批判の系譜をめぐっていくと、そこには町山先生がいるのです。『ドリーム』の邦題批判について言えばこれが元祖でしょう。

www.buzzfeed.com

 

ちなみに、町山先生は映画の公開が決まった当初から『ロケット・ガールズ』という邦題を推してました。

 

「アポロじゃなくてマーキュリー計画の話なんですが。僕は『ロケット・ガールズ』にしてほしかったです。」

先生のこの余計な二言が無ければ、騒動は起きてなかったかもしれないと思うと、もうなんというか脱力感がすごいですね。『ロケット・ガールズ』とか…ねぇわ...とか、そんな気持ちもどうでもよくなります。

 

そして、このツイートのリプライには早速、邦題の批判が出てきてます。 

 

 

 はぁ~(クソデカため息)

 

 

以上のように、『ドリーム:私たちのアポロ計画』が本編の内容とは異なる安易なタイトルだったために、映画ファンから批判されたというのは、事実誤認です。

正確に言えば、「私たちのアポロ計画」というサブタイトルはちゃんと本編の内容を踏まえていたにもかかわらず、本編をまだ見ていない「映画ファン」が、町山智弘先生による内容の紹介や「アポロじゃなくてマーキュリー計画の話なんですが。」といったような指摘をSNSを通して見聞きし、どうやら邦題がよくないらしいぞ、というだけのお粗末な理解でこれを批判し、それに対して20世紀フォックスもまともな返しが出来なかったために、当の映画のタイトルは『ドリーム』というクソダサくて何の中身のないものに改悪されてしまったという残念な出来事だったのです。

 

一番の被害者は映画ですよ。

そこんところ、間違えないでくださいね。