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語ることって大事

銀座ソニーパークで発売された「星の王子さま バオバブの苗木」はなぜ大炎上してしまったのか

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炎上の理由を整理します

はじめに、炎上の概要を引用します。

「銀座の庭」として、2018年8月9日に開園し話題になったGinza Sony Park(銀座ソニーパーク)。

ところがオープンしてまもなく、出店している店舗「アヲ GINZA TOKYO」で販売されていた商品「星の王子さまバオバブの苗木が発売中止になるという騒動がぼっ発しました。

星の王子さまバオバブの苗木とは、サン・テグジュぺリの小説「星の王子さま」と、プラントハンターの西畠清順氏が“コラボした”苗木で、1000個限定、税込み6480円で販売されていました。

 しかし、リリースが発表された途端、このコラボに対して、「作品を冒涜(ぼうとく)している」と「星の王子さま」ファンからたくさんの批判の声があがりました。

 9日に発売されると批判の声は怒りの声へとエスカレートし、Twitterでは「『星の王子さま』の著作権が切れたからといって、作品を一方的に改変して使うことをコラボとは言わない」「星の王子さまに対する敬意の欠片も感じられない。金儲けの道具にすることしか考えていない」と厳しい声が飛び交い、「#銀座ソニーパークださい」というハッシュタグがトレンド入りするほどの炎上騒ぎとなりました。

 結果、11日にソニーパークは商品の発売終了に踏み切りました。販売元である日本緑化企画株式会社(西畠氏の会社「そら植物園」と日本出版販売の合弁会社)は、17日時点でコメントを出していません。

(女性SPA 「星の王子さま」改変騒動の西畠清順氏、昨年も炎上したのにまた?)

 

以上のような炎上騒動がなぜ起こったのか、いろんな人があーだこーだ言っておりますが、いまいち腑に落ちない部分があるので、自分で整理してみようと思い立った次第です。

 

まず初めに言っておきたいのは、今回やらかしたの売り手だけで、バオバブも「星の王子さま」も今回の騒動においては被害者だよってこと。

実は「星の王子さま」の関連商品としてバオバブの苗木の販売することは、以前からセネガルの会社がやってることらしい。これは日本での出来事じゃないけど、ただの関連商品として売るだけならたぶん今回のような炎上騒ぎにはならなかったと思う。(関係ないけどセネガルといえばロシアW杯で日本と予選で競り合ってた国だね)

じゃあなんで銀座ソニーパークのやつが炎上したのよって話になるわけだけど、それには論点がいくつか分かれていて、そこがややこしくなってるんで、いまから一つ一つ解きほぐしていきましょう。

 

1.売り手の問題

今回の炎上に拍車をかけたのが、商品の売り手がどんな人たちだったかという点だね。

その売り手とは、ちょっと前に日本一のクリスマスツリーで一度炎上して有名になったプラントハンター西畠清順氏のそら植物園という会社で、その頃から彼の商売の仕方が偽善的だとか、言ってることが嘘八百とか、謝ったら死ぬ病とか、皆俺に嫉妬してるんだ~みたいなナルシスト具合とかが一部で嫌われてたみたいですね。僕はその件についてはよく知りませんが、今回の商品のダメさ加減やインタビューでの彼の発言を読む限り、さもありなん。性格自体はバイタリティー溢れる人のようで、まわりの人たちに好かれたり、人脈作りだったりがとても上手いんだろうね。けど、あまり知性は感じられないかなぁ…。彼を嫌いな人は、彼の人のよさよりも、金儲けのためにいろいろ箔を付けようとがんばってるバイヤーってところのほうが鼻に付くんだと思うよ。

それに加えてもっと重大なのが、そんな彼と彼の会社を今回の商品企画でバックアップしたのがなんとあの大企業のソニーと書籍流通大手の日本出版販売だったっていうんで、もうこれは驚愕するしかありませんよね。そんな大企業が手助けしてたのに、なんでこんな酷いものができあがるんだよ…って。

Twitterでは商品のプレスリリースが発表された直後から「#銀座ソニーパークださい」という抗議運動が始まって、かなりの盛り上がりを見せましたが、西畠氏ではなく彼を無批判に持ち上げたソニーのセンスのなさをこき下ろしてやろうというのは、商品がすぐ販売中止になったところを見るに、効果絶大だったみたいですね。

 

2.商品の問題

じゃあ、商品がどれくらい酷かったのかを見ていきましょう。

今回の商品は「星の王子さま」とのコラボと称してオリジナルストーリーを創作し、作品を改変しています。ただ、コラボと言ったって、著作権が切れたことをいいことに好き勝手にいじくりまわしているだけで、その姿勢に作品への敬意がまったくないと見なされたことが炎上の一番の原因だったと言っていいでしょう。

実際、このオリジナルストーリーやイラストによる原作の改変が最低最悪というほかない仕上がりになってるんだよね。

もう知ってる人も多いと思うけど、「星の王子さま」の作中において、バボバブは放っておくと星を破壊してしまう悪い植物で、王子さまはそれを一生懸命引っこ抜かなければいけないと、そういうふうに描写されています。

それじゃあ今回のオリジナルストーリーはどんな内容かというと、以下のようなものです。

小さなバオバブは旅にでた。

大きなものも、小さなものも、やさしいものも、こわいものも。

みんな一緒に生きている、そんな、青い星に旅にでた。

そこでは大きくなったバオバブが、ヒトよりも随分前から生きていて、それでも星は爆発せずに、今でも輝いているのだという。

「誰かにとっての嫌われものも、誰かにとっては愛される木になるんだよ」

青い星で、バオバブの芽は、大きな大きな木になった。

10年も、100年も、1000年も。

バオバブはずっと、ずっと、

さびしくなかった。

パッケージのイラストと照らし合わせてみると、王子さまの星に、生えてきたバオバブを抜かずに水やりをしてくれと頼む男(プラントハンター西畠清順)が現れて、その男の手によってバオバブは地球に旅立っていったというストーリーになっているみたいです。

「地球ではバオバブは悪い植物じゃないんだよ~」という主張を前面に押し出して、バオバブの負のイメージ?みたいなものを払拭しようとしていることがわかりますね。

 

でも、それを聞いてファンの人たちはたぶんこう思ったでしょう。ふーん、だからなんなん?って。バオバブが現実でも悪い植物だなんてみんな思ってないし、そんなこと上から目線で言わんでええぞ?って感じになったと思うんすよね。僕はなりました。

この一件ではバオバブが悪の象徴なのに、それを王子さまに水やりさせるなんて何事だ!といったようなところばかり注目されてるけど、そんなことよりこのストーリーの一番いただけないところは、王子さまに向かって上からものを教えるような内容になってることなんだよね。
星の王子さま」を読んだことない人はあんまりピンと来ないかもだけど、ファンにとってはあーこいつらなんもわかってないわー、おとといきやがれだわーってなるんですよ。だってこの作品は、すっかり大人の考えに染まってしまった人たちが、王子さまに本当に大切なことは何なのかを教えてもらうお話なんだから。このオリジナルストーリーでは西畠清順>王子さま>読者のような関係性になってしまっていて、これに居心地の悪さを覚えないファンが果たしているんでしょうか?西畠氏と王子さまが並び立ったパッケージイラストだけでも傲慢だ!と言われるくらいですから、このストーリーに多くのファンが不快感を持つのは当然と言えるでしょう。

そもそもさ、バオバブって原産国の人々にすごく親しまれていて、彼らの生活の中にこんなに根付いてるんですよ!って紹介するのが目的だって言ってるけど、じゃあ「星の王子様」を使う必要なくね?作中のバオバブの扱い方に「ちょっと待てよ」ってコラボと称してまで言う必要ないよね?そんなに言いたいんだったら、自分たちで新しい作品を創作したほうがいいよ?

星の王子さま and his BAOBAB」ってタイトル付けて、王子さまのバオバブってところにプレミア感出そうとしたんだろうけど、ぜんぜんバオバブの魅力を引き出せていないこの珍妙なオリジナルストーリーでドヤ顔なんてせずにもっと堅実なPRをすればよかったのに。これじゃあバオバブがかわいそうですよ。今回の騒動で一番の被害者はバオバブだと思うよ。「星の王子さま」の不動の名声はこんな程度のことじゃ傷なんてつきませんから。この企画をぶち上げたどっかのアホにはつくかもしれませんが、それは自業自得。でも、バオバブが何の罪もないのに、こんなことに巻き込まれちゃって不憫だよね。

あと他にも、原作イラストの改変がお粗末すぎるって批判もありますね。原作を切り貼りした雑コラじゃんとか、王子さまの横に並んでる男が火山の柵を踏みつけてるとか。まぁいろいろと雑ですよね。この商品に作品への敬意を感じろというのは、スイカの皮に甘さを感じろと言ってるようなもんですわ。

 

3.利権まわりのこと

星の王子さま」の利権まわりの問題はどうなってんだとか、日販(日本緑化企画)が「星の王子さま」ってタイトルを商標登録に出願出しててどういうことなんだとかいろいろあるみたいですね。

 

まぁでも、利権関係での違法性はないみたい。今回の商品は書籍ではないのと、植物の苗のカテゴリーではまだ誰も商標登録してないって理由で。さすが大企業、リスク管理はしっかりやってるようで。

ただ、そういう利権まわりの盲点を突いて今回の企画を立ち上げたんだとしたら見上げた商売根性してるよね。そういうところには鼻が利くのになんで肝心のストーリーには頭が向かないんだろう。まぁ宣伝のプロのはずの広告代理店が作ったCMでもこれまで幾度となく炎上してるくらいだから、そういう意味ではソニーも日販もそこらへん素人さんだったってことなのか、下が上にものが言えない体質になっちゃってるのか。知らんけど、今回の仕事にはプロらしさを微塵も感じさせないね。

 

 結論

上の原因をまとめると

②この商品を売り出したのがプラントハンター西畠清順氏だったことで、今回の一件が過去のやらかしの再来と受け止められたこと

①大人の説教臭さ全開のオリジナルストーリーをパッケージに添えたのがとんでもない蛇足だったこと(あとイラストも雑)

ソニー、日販といった大企業が手助けしておきながら、利権まわり以外のリスク管理をまったくやっていない(できていない)ようであること

 この三つが相乗効果のようになって今回の大炎上が起きたんだと思うよ。

といったところで一応整理できたかな。

 

最後に一言いうと、ぶっちゃけパブリックフリーになってから「星の王子さま」って金儲けのネタとしていままでも使われてきたし、これからもどんどんそうなっていくだろうけど、今回みたいなはしたない真似するとネットで叩かれるっていう判断材料ができたのはいちおう成果と言っていいんじゃないかな。

 

以上