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語ることって大事

【考察】『マッドマックス 怒りのデス・ロード』 反面教師としての『サンダードーム』

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マッドマックス最高(再考)!

 今日というか今さっき『マッドマックス 怒りのデス・ロード』を見てきた。さすがの前評判だけあって素晴らしい出来だった。今回私は、予習として前三作を見ておいたので、それもあって本作を大いに楽しめた。これから本作を見るという人も、ぜひ前三作を見てから本作を見ることをお勧めする。若しくは本作を見終った後からでもいいだろう。

 というのも、前三作を見れば、本作がどうしてこれほどまでクレイジーなものに仕上がったのかがわかるからだ。特に三作目の『マッドマックス/サンダードーム』があってこその本作だと思う。

 

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 『サンダードーム』は、1,2を見てきたファンには大不評だった。しかし、その教訓を生かして本作が作られたのだと言っていいくらいに、反面教師としての役割を全うしている。

 

 

これから『サンダードーム』をボロクソ言う

 では『サンダードーム』が不評だった理由を整理してみよう。

 

1. カーアクションが全然ない

 この映画の売りは1,2と異なり、サンダードームという檻の中での死闘がメインになっている。と言っても、車要素が全くないわけではなく、サンダードームの戦いとカーアクションが半々くらいでとても中途半端な構成だ。しかも、カーアクションといっても車対車ではなく列車対車、もはやカーアクションとはいいがたい。見せどころが弱い、これが不評の一番の理由だろう。

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2. インターセプターが出てこない

 インターセプターは1,2で主人公マックスが乗っていた車で、彼のキャラ付けには欠かせないものであったが、2で爆発してなくなってしまう。そして『サンダードーム』では、マックスがラクダにひかれた幌馬車に乗っている。1,2を見てきた人からすればなんだそれという感じだっただろう。せめてエンジンのついた車に乗れよ!

 

3. ストーリーが複雑

 『サンダードーム』では、マックスがバーターシティという町と、砂漠のオアシスにある子どもの国を行ったり来たりする。しかし、両者は全く無関係なので、ストーリーがぶつ切りになっているような印象を受ける。ただでさえ要素が増えて複雑なのに、ストーリーが行き当たりばったりなもんだから、余計に訳が分からなくなる。1,2は単純なストーリーになっていていい意味でバカでも分かる話になっているので、『サンダードーム』を見て、オレが求めているのはそこじゃねーよ!ボケが!と困惑?する人も多かっただろう。

 

4. マックスがただのいい人

 物語の中盤、マックスは子どもの国に流れ着く。そしてそこで原始的な暮らしをしている子どもたちのために行動するのだが、その行動原理がいまいちよくわからず、ただのお人よしにしか見えない。また、マックスがこの国に着くまで、ロンゲで小汚い浮浪者みたいな風貌でかっこよくないのもマイナスポイントだ。正直、お前誰だ?状態だった。

 

5. 酷い目に合ってる弱者がいない

 1,2のように暴力に蹂躙される弱者が存在しない。ここもマックスがお人よしに見えてしまう一因だろう。子どもたちは別に暴力にさらされているわけでもないし、マックスが助ける小人のおっさんも、もともとバーターシティの支配者で権力に目がくらんで都落ちしただけなので自業自得だ。

 

 6. 人が全然死なない

 バーターシティには掟があって、争いが起こらないようにしている。そのため、人が全然死なない。狂気の世界とは程遠い。

 

6. ボスキャラが全然怖くない

 サンダードームのボスキャラは女性であり、1,2の流れから次は女性となるのはわからなくはないのだが、人を殺すような描写もなく、あまりにも人間味があふれていて狂気を全く感じない。普通すぎる。物語の前半でマックスと協力関係になってしまうのもいただけない。むしろ彼女を裏切ったマックスが悪者のような印象を受けるほどで、これではボスキャラとして失格だ。前半の展開がこの女と小人のおっさんという、なんともいえない微妙な二人の権力争いという構成にしたおかげで、小物にしか見えなくなってしまっているのも残念なところだ。

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 といった具合で整理がついただろう。

 ここまで言っておいて難だが、『サンダードーム』は決して悪い映画ではない。三作中一番お金がかかっているだけあってセットや衣装も凝っているし、いいカットもたくさんあるので映画としてはまぁまぁの出来だ。ただ1,2という流れでこの作品をみると違和感がありまくりでどうしようもなくダメな作品になってしまうのだ。

 

 

バカでも分かる面白さこそ至高

 ここから本作、『怒りのデスロード』を見ていこう。さあ『サンダードーム』の教訓は、本作でどう活かされているのだろうか。

 

1. カーアクションがすべて

 本作では、本編の9割がカーアクションになっている。こりゃたまげた。

 

2. インターセプターが登場する

 冒頭の入りにインターセプターが登場し、胸が熱くなる。劇中まったく活躍しなくても、この冒頭でマッドマックスが始まるぞ!イェーイ!となれるので大満足である。

 

3. ストーリーが単純。バカでも分かる

 砂漠の向こうに行ってもなにもなかったから戻ってくるだけ。それなのにドラマとして全く見劣りさせない手腕は素晴らしいの一言。

 

4. マックスの行動原理がわかる

 本作のマックスは、基本的に自分のために行動する。狂気の世界のサヴァイバーだから当たり前だ。しかし、本作でも結局自分とって無益な人助けをしてしまういい人なのだが、行動原理はわかるようになっている。自分の妻と子を救えなかったことを悔やんでいるというのが冒頭から描写されるので、後半のマックスの人助けも無理なく受け入れられる。警察官という経歴を持つだけあって、なんだかんだでヒーローの役回りを演じてしまうのがマックスなのだ。

 

5. 強者に蹂躙される弱者たち

 本作では特に女性が蹂躙されている。冒頭のブクブクに太った女性たちが搾乳されているシーン。これほどインパクトのある蹂躙のされ方はないだろう。そして今作のボスのイモータン・ジョーの正室、側室たちにはいやらしいデザインの貞操帯がつけられており、正室格の女は妊娠していて、おなかが膨れているのもまたインパクトがある。まさしく性奴隷だ。見ていて思わずうわっ…となる。

 

6. 人がバンバン死にまくる

 本作では女だろうがお構いなく死ぬ。これぞ男女平等と言わんばかりに。慈悲はない。また、ウォーボーイという全身真っ白な男たちは、車を走らせて戦い、華々しく散ることが美徳というどこかで聞いたことのある生き物だ。そして、ボスであるイモータン・ジョーを唯一絶対の神として崇めている。さらに、勇ましく戦って死んだら死んだ仲間たちとともに神として迎えられるとかなんとか。うーん、そんな設定で戦争してた国どっかで聞いたことあるなー?気のせいかな??・・・と一瞬思ったけど、ボーイたちの雄姿にヒャッハー!!最高!!ってなってから、その先のことはあんまり覚えてないかな。

 

7. ボスキャラが超怖い

 本作のボスであるイモータン・ジョーは、ビジュアルによってその存在感を視聴者に見せつけることに成功している。なにせ唯一絶対の神なのだから存在感が半端じゃない。もちろんのことながら極悪人だが、どこか人間味を感じるキャラクターは嫌いになれない魅力を持っている。そしてマックスと全く接触しない。突然両者は対峙し戦うことになるので緊張感のある戦闘シーンを息をのんで鑑賞することになるのだ。

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おわりに

 といったように、ここまでやるかというくらい、『サンダードーム』での教訓が活かされていることがおわかりいただけただろうか。

 本作ではほかにも、前三作のパロディが随所にちりばめられているため、前作からのファンも大満足な出来になっている。が、ここではそれをいちいち解説するような野暮なことはしないので実際に見て確認してほしい。